散歩途中の事故は、加害も被害も飼い主の責任
散歩の途中の事故については、犬が害を与える事故の場合も、犬が害を受ける場合も、よほど特殊なことでもない限り、散歩をさせている犬の飼い主には責任があります。
まず、犬に触ろうとしてかまれた子どもの場合ですが、走ってきていきなりといったところで、飼い主からすると、ある程度は予測できることで、子どもが犬に触らないように、また、犬がかみつかないようにすることはできるはずです。したがって、それをしなかった飼い主には責任があるのです。とくに子どもの場合は、大人に比べてそのような可能性が高く、いっそうの注意が必要で、その分、飼い主の責任も大きくなります。
ただ、事情によっては、子どものとった行動にも問題がなくはありませんので、そのような行動をとらせた親の責任を考慮し、損害賠償や慰謝料の額を減額する場合もあると思います。このようなやり方を過失相殺といいます。具体的にどれだけ減額されるかは、微妙な問題で、一概には言えません。
治引き綱の長さのコントロールが事故予防につながる
犬が事故にあった場合も考え方は同じです。飼い主は、基本的にあらゆる事態を想定し、どのようなときでも犬を制御できるようにしておかなければなりません。とくに、大型犬の場合、ふだんはおとなしくても、何かあったときの力は想像以上で、そうならないように訓練する必要があります。あとひとつ大切なことは、引き綱の長さで、状況に応じ長さを調節しなければならないのですが、わが国では、欧米に比べ、長さの調整をきっちりしている人が少ないようです。
2001年の1月、横浜地方裁判所で注目すべき判決が出ました。散歩中の犬がひと吠えしたのに驚いた老人が転倒し大けがをしたという事件で、裁判所は犬の飼い主に約450万円の損害賠償を命じたのです。この事件では、裁判所は、犬がひと吠えしたことにだけ注意を払っていますが、路地から広い道に出るとき、引き綱を長くして犬を先に歩かせるのでなく、引き綱を短くして飼い主の横に従えていれば、この事故は起こらなかったはずです。
それ以外にも、これまでのかみつき事故の判決を見ると、散歩のときも、そうでないときも、綱の長さが長かったために起こった事故が多いのには驚かされます。これまであまり言われてこなかったことですが、綱の長さは、基本的なマナーのひとつとして、しっかりと身につけておく必要があります。
綱の長さの問題を含め、犬の制御ができなければ、飼い主に責任があります。そして、場合によっては、その事故の原因を作った子どもの親と、不注意で事故を起こした運転手にも責任が出てくることもあります。その場合には、それぞれの責任の大きさの割合によって損害に対する負担の割合が決まります。その割合も、微妙な問題で、一概には言えません。「注意一秒けが一生」は、人も犬も変わりませんが、犬の場合、注意すべきは犬の飼い主なのです。
