飲水量や尿量は、健康状態を知る、大切な指標
ペットフードを食べない、また、他のものも与えていないとすると、心配なのは、体格と体重の推移です。まず、かかりつけの先生に相談し、必要食事量とカロリーを計算していただく必要があります。水を多量に飲んでいるのも、病気の心配があります。ちなみに、体重1kgにつき、1日100ml以上の水を飲んでいる場合を、「多飲症」といいます。体重の記載がないので、はっきりしませんが、10kgとすれば、1日1Lの計算です。また、「多尿症」とは、体重1kgにつき、1日50ml以上の尿量があることです。どのくらいの水を飲んで、どのくらいの尿を排泄しているかは、健康状態を把握するのに、大切な指標となります。ですから、まず、愛犬の尿量、飲水量を把握することが必要です。
小型犬で室内だけで排泄をしているのならば、ペットシーツの重さを量ることで、尿量を測定できます。飲水量は、毎回水を汲み変えるときに、入れる量と残った水の量を量っておくことで、おおよそ測定できます。ご相談の場合は、雑種ということですが、体重はどのくらいでしょうか。
飲水量や尿量は、食事内容や環境、運動量といった、さまざまな要因によって、変動しやすいものです(たとえば、缶フードからドライフードに変えた、塩辛いものを食べさせた、暑かった、野外で運動をたくさんしたなど)。その一方で、さまざまな病気のサインである場合もあります。日頃から、健常時の数値を書き留めておくと、具合がおかしいときに、異常を判断する目安となるでしょう。
飲水量や尿量が多くなる病気とは?
多飲多尿を示す病気には、糖尿病、腎性糖尿病、慢性腎不全、腎盂腎炎、子宮蓄膿症、高カルシウム血症、肝疾患、副腎皮質機能亢進症、低カリウム血症、副腎皮質機能低下症、甲状腺機能亢進症、医原性疾患、尿崩症、偽心因性多渇があります。これらの病気は、尿を作り出す腎臓に異常があるもの、身体の総水和に関与する内分泌に関連するもの、細胞液の濃度を濃くしてしまうような病気などに分けられます。これらの病気は、見た目にも明らかに異常な状態だったり、血液検査や尿検査、レントゲン検査、超音波検査で容易に診断できるものもあります。しかし、検査上の数値では微妙な変化しか見られず、血液中のホルモン測定や摂取水分量を制限する水奪取検査といった、時間のかかる検査が必要になることも、しばしばあります。いずれにしても、基本は尿検査です。K.Mさんは、今すぐ、愛犬の新鮮な尿をとり、動物病院で尿検査を受けてください。
なお、上述した病気について、知っておきたい注意点、動物病院へ行くべき症状を、以下に挙げておきます。
1) 多飲多渇と考えられるのは……
体重1kgにつき、飲水量が100ml以上の場合
体重1kgにつき、尿量が50ml以上の場合
2) 加えて、以下の症状がある場合
体重減少・多食がある・・・糖尿病・内分泌疾患
左右対称性の脱毛がある・・・内分泌疾患
すでに飲んでいる薬がある・・・中毒・薬剤による影響
身体のどこかに腫瘤がある
リンパ節が腫れている・・・腫瘍性の高カルシウム血症
不妊手術をしていないメス・・・子宮蓄膿症
3) 尿検査で、以下の診断が下された場合
尿糖がある・・・糖尿病・腎性糖尿
膿尿、細菌尿・・・腎盂腎炎・子宮蓄膿症・副腎皮質機能亢進症
蛋白尿・・・腎機能の低下・子宮蓄膿症
