分離不安症の可能性がある
犬は、飼い主と離ればなれになった不安から、さまざまな症状(食欲不振、元気がなくなる、下痢など)や問題行動(吠える、不適切な場所での排泄、破壊行動など)を引き起こす場合があり、これを分離不安症といいます。
ルルちゃんの場合は、この分離不安症の可能性があると思います。分離不安症のワンちゃんは、飼い主に対して幼犬が母親に示すような過剰な愛着を持っており、普段からいつも飼い主にくっついて離れないというような行動が見られます。
このような場合は、母犬が成長した子犬を突き放すように、飼い主が犬と距離をおいて接することで、犬が精神的に自立するように導く必要があります。まずは次のようなプログラムを実行してみてください。
1.犬を精神的に自立させる
犬が独りでいても不安を感じないようにするためには、精神的に自立させる必要があります。そのためには、母犬が子犬にするように距離を置くようにします。たとえば、日常生活の中で、犬の方から甘えて近づいてきても相手にしないようにします。そして、犬との接触はいつでも飼い主主導で行うようにします。抱いたり撫でたりするのは、犬が求めて来たときではなく、飼い主の方から「おいで」と呼び寄せたり、「おすわり」や「ふせ」などの号令をかけ、それに従ったときのごほうびとして行います。飼い主が家にいるときにも、別の部屋で過ごす時間を持つようにしましょう。
2.留守番に慣らす
飼い主が外出することを犬に知らせる合図(たとえばカバンを持つ、コートを着る、カギを持つなど)や、犬が飼い主の外出を予測し、落ち着きをなくすような合図を、外出しないときにも行い、これに慣らしておきます。これに十分に慣れたら、短いお出かけ(ドアを開ける真似、ドアを開けて出ていくふり、ドアを閉めてすぐ戻るなど)に慣らし、少しずつ外出時間をのばしていくようにしましょう。
3.外出直前は犬を無視する
外出前に「お願いだからお利口にしてね」「お留守番させてごめんね」などと言いながら犬を抱きしめるなど、おおげさに別れを惜しんだりするのは逆効果です。外出前30分は犬を無視します。無視するというのは、声をかけない、触らない、目を合わさないことです。そしてあっさりと出ていきましょう。
4.出かけるときに、犬がしばらく熱中できるものを置いておく
出かけるときに、犬が時間をつぶせるおもちゃ(かむおもちゃ、フードを入れたコング、その日の食事を入れたバスターキューブなど)や、好物(とくに好きなものを見つけておいて外出のときだけにそれを与える)をさりげなく置いていきましょう。
5.帰宅直後にベタベタしない
外出時と同様に、帰宅時にオーバーな再会の挨拶をするのは逆効果です。帰宅時に犬が興奮して出迎えても、声をかけたり、撫でたり、目を見たりしないようにします。犬が落ち着いて普通の状態になるまでは無視を続けます。犬が落ち着いてからはじめて、声をかけたり、触ったりするようにしましょう。
日常生活で工夫すべきことは?
上記のプログラムのほかにも、日常生活で工夫できることがあります。
1.飼い主が外出しているときと、家にいるときの差を少なくする
犬がお留守番に慣れるまで、テレビやラジオをかけて出かける、電気をつけて出かけるなど、飼い主さんが家にいるときと同じような状態で出かけるようにするのもよいでしょう。ただし、犬が安全にお留守番できる状態にしておいてください。
2.日常生活における刺激、楽しみ、運動量を増やす
日頃から散歩や遊びの機会を増やしましょう。とくに外出前には十分な運動をさせておくと、外出中は犬が疲れて眠ったり、落ち着いていられる可能性も高くなります。また、飼い主さん以外に仲よく過ごせる人やワンちゃんのお友達を見つけるのもよいでしょう。
3.基本的服従訓練で、待つ習慣づけを
「おすわり、まて」「ふせ、まて」などの号令を教え、少しずつ長い時間「まて」ができるようにします。自宅にいるときも「ふせ、まて」などの号令をかけて、お風呂に入ったり、家事をしている間など、飼い主と離れた場所でひとりで待てるようにトレーニングしましょう。
薬物療法を併用する場合は、獣医師にご相談を
分離不安症には、上述の行動療法に加えて、補助的な薬物療法が効果的であると言われています。不安を取り除くためのクロミプラミンという薬の有効性が確認されており、分離不安症の治療補助剤として販売されています。薬物療法については、かかりつけの獣医師に相談してみるとよいでしょう。
