犬にとっては自然な行動
犬には遊びと現実の区別はできませんので、自分のものを横取りした相手を攻撃するのは無理もない行動とも言えます。言いかえれば、私たちが路上でひったくりにあって怒るのと同じぐらい自然な反応なのです。
もし他人に大切なものを奪われたら、私たち人間ならどんな反応をするでしょう? 勇敢な人なら追いかけて相手に殴りつけてでも取り返すかもしれませんし、大声で叫ぶ人もいれば、怖くて立ちすくんでしまう人もいるでしょう。犬も相手に攻撃をしてでも取り返すタイプと、吠えるだけのタイプ、あるいはあきらめてしまうタイプなどさまざまです。
愛犬がかみつき抑制ができており、相手に怪我を負わせるようなことがないのであれば、犬同士で解決させることもできます。まわりの犬も「あの子のおもちゃを取ると、ひどく怒られる」ということを学習すれば、やがて愛犬が追いかけているものを狙わなくなるでしょう。
多頭飼いの犬たちは多くの場合、自分たちでそれなりのルールを作って折り合いをつけ、もめごとを避けて生活するようになります。しかし、たまにしか会わない子ではなかなか折り合いをつけるのも難しいかもしれませんね。また、たとえ知り合いのワンちゃんであっても、飼い主の目の前でけんかになったら、それを黙認することは現実的には難しいですし、万が一、怪我をさせてしまうと問題となります。
仲よく遊べるようにトレーニングしましょう
人間の子供同士も、遊ばせているとおもちゃなどを取り合って、すぐにけんかをしますが、少しずつ譲り合うことを教えることができます。ワンちゃんに仲よく遊ぶように言葉で伝えることはできませんが、コントロールできる状況で攻撃行動を減らすことは可能です。
まず当分の間は、トラブルが起こるような状況でボール遊びはさせない方がよいでしょう。このような問題は繰り返すことで悪化し、根深くなっていくものです。また他のワンちゃんが遊んでいるときに、自分が遊べないとイライラするようですから、他のワンちゃんが遊んでいるときには、ひっぱりっこなどリードをつけたままできる遊びでストレスを発散したり、トレーニングモードに変えて、「お座り」「待て」などの号令をかけ、短時間でもできたら褒めて大好物を与えるなどし、「我慢するとよいことがある」ということを少しずつ教えてあげてください。
よくある失敗は、攻撃的になった犬を叱ることです。叱られることによって、ワンちゃんはますます相手の犬に嫌悪感を持つようになってしまいます。
また、特別なトレーニングとして、仲のよいお友達のワンちゃんと、おもちゃを代わる代わる追いかけさせるようにします。このとき、けんかにならないように、最初はおもちゃを追いかけさせない方の犬は、リードでつないでおきます。他の犬がボールを口にするのを見せ、待っている方の犬を褒めて好物を与えます。このことによって、「他の犬がボールを取ることはよいこと」だと学習させます。
また、犬に「お座り」「待て」の号令をかけ、目の前にボールを投げ、それを他の犬に取らせ、その瞬間に褒めて好物を与えたり、別の方向にボールを投げて取らせるなどのトレーニングも有効でしょう。
ただし、タイミングや刺激の強さの調節などは、高度なテクニックが必要です。悪化傾向が見られるときは、トレーニングをすぐに中止し、専門家に相談されることをおすすめします。
