口のまわりは触られたくない部分
何の問題もなく、口を触らせてくれる犬もいれば、すごく抵抗する犬もいます。もともと口のまわり(口吻部分)は、犬にとってあまり触られたくない部分です。というのは、母犬が子犬を叱るときや、上位の犬が下位の犬をいさめるときに、この口吻部分を軽くくわえることがあるからです。
ですから、犬自身が認めていない相手、信用できない相手には触らせたくないのです。かむとまではいかなくても、触られないように逃げたり、抵抗したりする犬は、意外と多いのではないでしょうか。口のまわりを触れるようになるには、ふだんから飼い主がリーダーシップを発揮していることが大切です。
歯磨きを受け入れさせるには?
歯磨きのトレーニングは、無理をせず、徐々に慣らしていきます。押えつけて無理にすると、歯磨きが嫌なことになってしまいますので、気をつけましょう。
(1)口のまわりに触られることに慣らす
耳のつけねや胸元などは、犬も触られて気持ちのいい部位。こうした部位から、徐々に口もとに近いところを触るようにしてみます。
(2) 唇をめくって、歯を見る
口をこじ開ける必要はありません。
(3)指で歯や歯ぐきをなでる
前歯から奥歯へと指をすべらせるようにしてください。指先に無塩バターなど、ペースト状で犬が好きなものをつけて行うとやりやすいでしょう。
(4)指にガーゼを巻いて、(3)を行う
最初はなでるように、慣れてきたら、少し力を入れて磨くようにします。
(5)犬用の歯磨き剤などをつけて行う
犬が嫌がらないようであれば使用しましょう。
上記の方法で、犬が慣れて、抵抗せずに受け入れるようになったら、次の段階に進むようにします。無理をして、かまれると、犬は嫌なことや不快なことに対して、牙をむくことで、避けられると考え、行動するようになってしまいます。やさしく声をかけながら、楽しそうな雰囲気で歯磨きを行い、おとなしくしていたら、必ず誉め、受け入れたことを「よいこと」だと伝えていきましょう。これは、歯磨きを嫌がる人間の子どもに対して、おだてて、ごまかしながら歯磨きをさせるのと同じですね。
歯磨きを受け入れさせるには?
ただ、今回のご相談の場合、かみついてくるのは、痛みによるものだと考えられます。歯槽膿漏で皮膚に傷ができるというのは、歯石などにより、細菌が侵入し、歯根部に炎症が起こって化膿し、たまった膿が歯肉や皮膚に穴を開けて、排出されているという状態です。このような状態では、痛みのため、当然、固いものは食べられず、口のまわりを触られることを嫌がります。口臭もかなり気になるのではないでしょうか。現在は、飲み薬と外用薬で落ち着いているようですが、原因そのものを治療しないかぎり、再発を繰り返す可能性があります。
このように痛みのある状況での歯磨きは、犬にとっては拷問のようなものでしょう。また、歯石は、歯磨きでは除去できません。ご相談の文面から推察して、いろいろ述べてきましたが、まずは、かかりつけの獣医師とよく相談されることをおすすめします。歯磨きのトレーニングは、症状や痛みの問題がクリアできた時点から開始してください。その場合にも、口を触られる=痛いという関連づけが、犬の頭の中に定着していると、反射的にかもうとするかもしれませんので、ご注意ください。
物理的に歯磨きできることがもっとも効果的ではありますが、歯磨き効果のある食事やガムなどの製品もあります。どうしても、無理な場合や歯磨きトレーニング中などには、併用してみるのもよいでしょう。
