おもらしの原因を診断するためには?
おもらし(尿失禁)の原因は、次の4つのカテゴリーに分けて、系統的に考えて診断していきます。
●先天性のものか?
●後天性のものか?
●解剖学的に泌尿生殖器の位置や形がおかしいのか?
●神経や機能に異常があるのか?
先天性か後天性かを考える場合に、詳細な問診を行うのですが、そのポイントは、尿失禁が始まった年齢、犬種、性別、また避妊手術の有無や尿路系の疾患の既往歴がないか、頻尿や排尿困難などの排尿パターンの異常はないかなどです。
また、具体的に尿失禁を評価するには、以下の項目をチェックします。
●失禁は持続的か間欠的か?
●失禁の尿量は?
●犬が尿失禁したことを気づいているかどうか?
●尿失禁もあるが、正常に排尿することもあるか?
ご相談の内容からは、先天性、後天性ともに考えられます。原因としては、異所性尿管と尿道括約筋機能不全の2つが、もっとも疑わしいと思われます。
異所性尿管は、先天的に尿管が膀胱以外につながっている病気
異所性尿管とは先天性の原因で、若齢の純血種のメスに多く見られます。腎臓で作られた尿は、尿管という管を通って、膀胱に一時たまり、膀胱がいっぱいになると排尿されます。異所性尿管は、本来、腎臓から膀胱へつながっているはずの尿管が膀胱以外の場所につながっているため、失禁がおきるというものです。
異所性尿管の患者は、持続的な尿失禁をしながらも、随意的に排尿することもできるという病歴がみられます。つねに会陰部や後肢の毛が濡れているといった症状も見られます。異所性尿管かどうかは、泌尿器のレントゲン検査で尿路造影検査をすることによって確認することができます。治療は、尿管を正常な位置にもどす外科手術となりますが、必ずしもすべての例で手術が可能というわけではありません。
尿道括約筋機能不全は、肥満や運動不足などが原因
尿道括約筋機能不全は、症状は異所性尿管とほぼ同様ですが、尿路造影検査によって異所性尿管ではないことが確定された場合に、この病気が疑われます。
この病気は、女性ホルモン剤の投薬で効果が見られることがあるため、不妊手術との関連が疑われていました。しかし、ほとんどの尿失禁が、手術後数年経ってから見られること、不妊手術を受けた犬の4%にしか発症しないこと、不妊手術を受けていない犬にも見られることから、必ずしも不妊手術との関連性はないと考えられています。
現在のところでは、神経系統の異常を含む複数の要因、たとえば肥満や運動不足などが原因ではないかと考えられています。内科療法で反応しない場合は、外科手術の方法もあります。
まずは、膀胱炎のチェックのために、尿検査をおこなったり、飲水量が増加し、尿量が増えて失禁していることがないかを調べたりするといいでしょう。お早めに、かかりつけの獣医師にご相談されることをおすすめします。
