今以上の恐怖体験をさせないで!
恐怖を感じるような経験というのは、心の傷になってしまうことがあります。とくに、さまざまな体験を通じて、肉体的、精神的に成長していく子犬の時期ではなおさらです。今回のご相談の場合は、他の犬にかまれてしまったことが原因で、他の犬や人に対して、過剰な防御反応として、攻撃性が出ているのだと思われます。しかも残念なことに、こうした場合の攻撃性は、犬自身の学習によって、さらに強化されていくことが多いのです。怖いから攻撃する。すると、その恐怖の対象はいなくなる。つまり、「怖ければ攻撃すればいい」という図式が、頭の中にできあがってしまうというわけです。
今回の場合には、知らない人に対してのみ、この図式ができあがっているようですね。犬に対しては、攻撃すらできない極度の緊張状態での恐怖反応を示しています。このような犬に、何より大切なのは、今以上の恐怖体験をさせないことです。わざと犬に近づけたりすることは逆効果です。人間でも、子供時代に犬にかまれてからは、小型犬でも怖くて近寄れなくなってしまうことがありますよね。生後5カ月の愛犬(チワワ)がかまれた相手は中型犬、少なくとも、自分よりも5〜6倍はある相手です。自分の身に置きかえて考れば、どれほどの恐怖を感じたか想像することができるでしょう。
恐怖を克服できた場面で必ずほめる
では、実際にどう対処すればいいのでしょうか。まず大切なのは、犬に恐怖を克服させ、自信をつけさせることです。犬の様子をよく観察してください。日常の中にも、犬が自分の恐怖と戦い、克服している場面があるはずです。どんなに小さなことでもかまいません。例えば、知らない人の近くを通り過ぎることができたとき、苦手な動物病院の前を歩けたとき。こんな場面では、きちんとほめてあげるよう、飼い主がつねに意識してください。
とくに、人や他の犬に対しては、犬がそれらを許容できる距離というがあります。犬が過剰に反応せず、対象物を緊張しながらでも観察できていたら、やさしくほめましょう。距離は無理せず、徐々に縮めていくようにします。犬が恐怖を感じている様子がみられたら、恐怖反応がなくなる距離まで離れ、その場でほめてあげます。そして、犬が落ち着いたら、再度近づいてみるということを、何日もかけて、根気よく行ってください。犬が5mを克服できたら、次は4m55cmに挑戦するくらいの気持ちでけっこうです。
かばうより、励ますような気持ちで
今回の回答は、すぐにでも実行できそうなものをあげてみましたが、本来なら犬のことにくわしい協力者と一緒に、犬に無理をさせずに、具体的なトレーニングを進めていくのが理想的です。できるなら、自宅に来て、トレーニングをしてくれるプロのトレーナーやカウンセラーを探してみてはいかがでしょうか。犬の性格や飼育環境などによっても、有効な解決策は異なります。いくつかのプログラムを併用することで、よい結果が得られることもあるかもしれません。そして何より、信頼できるプロの協力者というのは、飼い主にとっても、力強い存在となるでしょう。
最後になりましたが、犬と接するときは、いきなり頭をなでようとしたり、覆いかぶさるような姿勢をとったり、犬をジィーッと見たりしないことも大切です。このような行動は、犬に威圧感を与えるので注意しましょう。 もどる
