無視の加減がわからない

無視の加減がわからない飼い主への信頼があってこそ、「無視」は意味がある「かまう」と「無視する」のメリハリが大切3カ月のオス犬です。「ペットの自立心を養うには、ペットを無視するのがよい」とお医者様に聞いてから、家の者は無視をするようになりました。トイレなどの世話を除いて、家の者(私を含む)は、一日中、子犬にいっさい触れようとしません。さすがに少しはかわいがってあげたいと思うのですが、どのくらい「無視」をすればよいのか、加減がわからず困っています。

武田様

アドバイス

飼い主への信頼があってこそ、「無視」は意味がある

子犬のトイレットトレーニングは、遅くとも生後2カ月ぐらいから始めないと、こじれてしまうことも少なくありません。基本的に、しつけは、早ければ、早いほど身につけやすくなります。子犬がおうちに来たときから、愛犬のルールづくりを心がけてください。

 臆病な子でなくとも、シャンプーを嫌がる犬は多いものです。ましてや、子犬の頃に、おもしろがって水を浴びせられたという怖い経験をしているのであれば、なおさらかと思います。 嫌がる犬をシャンプーに慣らすトレーニングで、まず一番大切なのは、飼い主との信頼関係ができているかどうかです。シャンプー以前に、ブラッシングはさせてくれるでしょうか。グルーミングは、犬を清潔にするばかりではなく、飼い主が犬よりも優位な立場にあるかを認識するバロメーターにもなります。体のどの部分でも触らせてくれるのは、犬が飼い主を優位と認め、信頼し、安心して身を任せているという証拠です。最初は、フードを使い、ほめながら安心させた状態でブラッシングを行ってみましょう。このとき、無理にブラッシングすることなく、なでるように行うことが大切です。Hさんの愛犬は、スピッツと紀州犬のミックスとのことですので、コートが厚く、脱毛も多いと思います。できるだけ毎日ブラッシングしてあげてください。

犬はつねに仲間といることを好む動物です。これは犬がリーダーを中心とした群れを形成し、暮らしてきたことが背景にあります。集団となることで、食物確保のための狩猟や外敵から身を守ることも容易となり、より安全に、安心して暮らせるようになりました。いいかえれば、単独でいることにこそ不安を感じてしまうのです。
 ただし、だからといって、365日、24時間、愛犬と一緒にいることは不可能です。人間社会で暮らしていくためには、ひとりでいること(留守番)に慣れるのも大切です。そのためには、自立心を養うことが必要となりますが、ただ無視をすれば、自立心が育つというわけではありません。
 とくに今は信頼関係を築く大切な時期です。しっかりとコミュニケーションをとり、絆を深めてください。そのために、とにかく愛犬と思いっきり遊ぶ時間をつくりましょう。子犬は遊びの中から多くのことを学びます。また、精神的、肉体的成長のためにも、遊びは必要不可欠です。このようなコミュニケーションの時間、飼い主への信頼があってはじめて、「無視する」ことに意味が出てくるのです。

「かまう」と「無視する」のメリハリが大切

 また、遊ぶのと同じくらい、犬に「かまわない」時間も大切です。とくに、子犬の時期では、見てても飽きないの言葉どおり、その愛くるしさに子犬の一挙一動についつい反応してしまいがちですが、これを続けていると、注目されること、かまってもらうことが当たり前と考えるようになってしまいます。このような勘違いが続くと、誉められても喜ばない、反応の鈍い犬になってしまったり、つねに自分に注目してと要求したりするようになってしまいます。
 これは誉められているのがうれしいのではなく、「慣れて」しまっているのです。自分に注意が払われている状態が日常ですから、誉められても当たり前。自分以外のものに注目してるのはおもしろくないから、吠えて、自分に注目させるという行動に出ることもあります。電話中や犬との散歩途中の立ち話の間中、吠えたりする犬はこの典型です。
 本来、つねに注目される存在というのは、リーダーであるべきですから、犬にこうした勘違いをさせてしまった責任は、飼い主にあるといえるでしょう。
 ただ、今回のご相談のように、ほとんどの時間、無視しているというのもよくありません。最初は不安を感じていた犬も、かまわれないことが日常になると、この状態に慣れてしまいます。こうなると、飼い主に何も期待しない、かまわれることを嫌う、無気力、無感動の犬になってしまいます。
 大切なのは、かまってあげることと、無視することの「メリハリ」です。このバランスがむずかしいのですが、たくさん遊んで、声をかけて、短い時間でも意図的にかまわない時間をつくるようにしてください。ただし、犬が要求してきたときは無視するようにしましょう。
 飼い主の注目がうれしい、楽しいと期待して、飼い主を見上げている愛犬の姿を想像してみてください。犬は育てたいようには育ちません。育てたように育つのです。愛情いっぱい、節度をもってかわいがるようにしましょう。